多摩市が保育料値上げ案(5)「保護者負担増3700万円」口頭でしか説明せず

東京都多摩市(阿部裕行市長)が設置した子ども子育て会議(会長=大日向雅美・恵泉女学園大学人間社会学部教授)で2014年8月4日、多摩市が新保育料の試算(案)を示した問題の続報です。今回の多摩市の案が、子ども1人あたりの保育料が平均で年間1万7400円程度の値上げであることなど、保育園パパ・ママにとって衝撃的な内容であることを、これまでに示してきました。改めて、多摩市がこのような案を出してきた背景について、会議録がまだ公表されていないので、過去の公表資料をもとに、わかる範囲で考察してみたいと思います。


市の負担減、保護者負担増が目的?
にもかかわらず資料に総額明示せず、口頭報告のみ


多摩市が8月4日の子ども子育て会議に提出した「新保育料単価試算表(案)」は、児童年齢/所得階層別に現在の保育料と多摩市の案を示しました(2014年度第5回子ども子育て会議・資料3)。この会合で示された(資料1)「公定価格と利用者負担の検討」によると、試算表(案)は、「所得階層間の階層差額の一定化」「非課税世帯の利用者負担なし」「第2子半額、第3子負担なし」といった条件でシミュレーションをおこなったものだと説明されています。

同じ資料にさらりと書かれていたのが「シミュレーションでは、保護者の負担率は、国徴収基準の52%」という文言です。2013年度決算では、保護者負担は国徴収基準の47.7%(残りを多摩市が負担)ですから、おおざっぱにいえば、保護者にとって9%増(52÷47.7=1.09)に相当する数字です。

当然ながら、シミュレーション(模擬計算)は、パラメータ(入力値)を変えることでこの数字は調整できるはずですから、なんらかの「結果として」保護者の負担率が上がったのではなく、意図的に多摩市が保護者の負担率を上げた(少なくとも負担率が変わらない、あるいは負担率を下げるようには調整しなかった)ということは明白です。これは、同じ資料で、多摩市使用料等審議会の答申をひいて「保護者負担の目安を国徴収基準の50%」という文言を提示していることからも裏づけられると思います。

上記のことを踏まえて、同じ資料にある「新制度では、新たな財源を確保し量の拡充や質の向上を進めます」というページをみてみると、
 (1)幼稚園・認定こども園の新制度への移行
 (2)3歳未満児の待機児童対策
のための事業費(約9億円)の財源として、
保育園保護者の負担を増やすのが多摩市の目的ではないかと推察されます。

もしそうであれば、新制度に移行するにあたってこれらの事業を進める財源として保育園保護者の負担を増やすという発想は、新制度の趣旨に照らしてはたしてふさわしいことなのか。保育園保護者の一人として、市民の一人として理解に苦しみます。

ところで、筆者が資料をざっと読んだ限り、驚くべきことに、多摩市の新保育料単価(案)によって、保護者負担の総額や市の負担額が示された資料は見つかりませんでした。複数の関係者によると、会議では口頭で、保護者の負担が約3700万円増えて、市の負担がそれだけ減るということが報告されたそうです。しかしこれだけ重要な数字が、会議関係者と傍聴者以外の多くの市民には、会議録が公開されるまで届かないことになってしまいます。保育園保護者にとって、所得階層間の公平性だけでなく総額としてどれだけ保護者負担が増減するのかは、保育料の改訂の際の重要な基本情報です。それを、こういう会議運営のあり方でいいのか、疑問が生じました。大日向会長には、こうした会議運営を見直し、ぜひ開かれた子ども子育て会議にしていただきたいと期待したい。

多摩市が示した保育料値上げ案について、その背景について、少ない情報をもとに考察しました。その他の問題点についても改めて続報します。

この問題についての多摩市の問い合わせ先は;
https://www.city.tama.lg.jp/shingikai/2727/18630/018881.html 

(つづく)文責・バカボンパパ
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by tama-kosodate | 2014-09-02 06:59